特集
政治家コラム【ベンチャー応援団】
『日本の足元を支える中小零細企業・ベンチャー企業の繁栄なくして国家の繁栄なし』政策通の現役国会議員が語るこれからの中小企業政策とは?
フジサンケイビジネスアイ『ベンチャー応援団』(毎週水曜日連載)連動企画。

- 【プロフィール 】
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- 参議院議員
- 民主党
- 鈴木寛 [ すずき・かん ]
- 1964年生まれ 兵庫出身
1964年:兵庫県に生まれる。
1982年:灘高校卒業後、東京大学に入学。
1986年:通商産業省(現在の経済産業省)へ入省。
1993年:山口県に出向。同県工業振興課長。
1995年:通産省に戻り、産業政策局取引信用室総括室長補佐。通産省情報処理振興課総括課長補佐。
1997年:中央大学総合政策学部兼任講師。
1999年:通産省から慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)環境情報学部助教授(専任)に転身。
2000年:NPO法人スポーツ・コミュニティ・アンド・インテリジェンス機構(SCIX・シックス)を設立。
2001年:第19回参議院議員通常選挙に民主党公認で、東京選挙区から立候補、初当選。
vol.49(2008/5/1)新型インフルエンザについて
世の中のあらゆる動きにアンテナを高く張らなければ適切な経営判断はできません。特に、チャンスと共にリスクに対する感度が問われる時代となっています。
現在、新型インフルエンザ(H5N1)をめぐり「パンデミック=広地域流行」という専門用語がテレビや新聞などに取りざたされるようになりました。WHOが出したインフルエンザパンデミック警報フェーズは現在、六段階ある内のフェーズ3(パンデミックアラート期)となり、全世界で約100万〜400万人が死亡したと推定される1968年の香港インフルエンザ以来最も高いレベルに突入しています。
もし、新型インフルエンザが人から人に感染し、感染拡大が起きてしまった場合、国内での罹患予測は600万人とも2500万人とも言われ、死亡者も5000人とも64万人とも言われていますが、いずれにしても予断を許さない状況です。経済・産業活動も突然麻痺し、大混乱が起きるでしょう。
私も、国立感染症研究所と、聖マリアンナ医科大学難病治療研究センターの関係者からそれぞれ対応策についてお話を伺いました。
まず、医薬品による対抗手段として考えられるのは、抗ウイルス薬です。ウイルス感染を防ぐものではありませんが、感染した人の重症化は防げるタミフルなどの抗ウイルス薬の備蓄について、イギリス、カナダ、オーストラリアは概ね国民の50%分を確保していますが、日本では22%分で、しかも、新型の場合には通常の4倍の量が必要との指摘もあり、まだまだ備蓄が不足しているとの事です。
また、ワクチンについては、新型インフルエンザの人感染が始まった後に、その型に合わせてつくる、予防効果の高いパンデミックワクチンと、事前にトリ型インフルエンザをもとに製造でき、備蓄可能だが、型が合うとは限らないプレパンデミックワクチンの二種類があります。
プレパンデミックワクチンに関して、スイスでは、事前接種が全国民に予定されています。対してわが国では、約2000万人分の備蓄に留まっており、現在の対策では、感染が始まってから摂取することになります。しかも、ワクチンは原液で保存されており、製品化までに一ヶ月の期間を要し、加えて、ワクチン接種後一ヶ月を経ないと感染予防効果が表れないので、手遅れになってしまうのではとの懸念が指摘されています。
二種のワクチンとも、現在標準化されている方法では、ワクチンを培養する為に有精卵が必要になりますが、事前に農家と契約し、有精卵を確保するなどの対応はまだ採られていないそうです。
また、鶏卵ではなく、動物細胞を使ったタンク培養によって、スピーディかつ大量にワクチンを製造する新しい方法も開発中ですが、安全試験やワクチン生産体制の整備が必要で、アメリカでは設備を設営中で半年以内に供給可能な状態になるという事ですが、日本での対応は始まっていません。
一方で朗報もあります。皮下注射に代わる経鼻型ワクチン接種法が日本発で開発され大変な注目を集めています。鼻からスプレーする事で、簡易に体内に新型インフルエンザ抗体を作る事ができ、また、感染自体を防御でき、さらに交叉免疫といいますが、事前に予測していた型と異なる型が流行した場合にも一定の免疫効果が期待できます。
しかし、これはまだ研究段階であり、今後、治験などによって、安全性と有効性を確認していかなければならず、市場に出回るまで、通常のパターンでいくと、およそ10年は掛かる見込みという事です。残念ながら期間短縮への対策は論じられていません。
私もこうした現状に警鐘を鳴らし、提言などを行っていますが、もしこの問題が深刻なレベルで日本を直撃すれば、経済・社会活動も極度の機能停止に陥り、近代システム自体が瓦壊する恐れもあると考えています。
こうした重要情報を察知し、緊急度を判断し、事態を予測し、万全に準備をしていくのは政治家の本務ですが、ビジネスパーソンとて、インテリジェンスマインドを働かせ、こうした危機に対して、事前にシミュレーションを行い、従業員や家族の命と健康を守り、社会性の高い産業活動は極力維持する為の様々な準備をしていく必要があります。


